自治医大さいたま医療センター皮膚科教授の出光俊郎氏は、抗ヒスタミン薬やステロイドなどが効かない難治性の蕁麻疹に、レセルピン(商品名アポプロンほか)0.3〜0.4mgを追加投与し、著効した症例を複数経験している。
数年前にも出光氏は多剤耐性蕁麻疹と蕁麻疹様血管炎の患者19人を対象にレセルピンを投与したところ、13人に著明な改善が認められ、5人に有効だったと報告した。
一般に、蕁麻疹の治療は血液検査などによる原因検索を進めるとともに、抗ヒスタミン薬を中心とした投与を行う。改善しない場合は、抗ヒスタミン薬を変更、 増量したり、ステロイドを少量投与することが、日本皮膚科学会の「蕁麻疹・血管性浮腫の治療ガイドライン」でも推奨されている。抗ヒスタミン薬やステロイ ドのほかに、補助的治療薬としてH2拮抗薬や漢方薬、ロイコトリエン拮抗薬なども挙げられているが、レセルピンの記載はない。
レセルピンは投与して1〜2週間、早ければ3日ほどで膨湿や皮膚そう痒感が驚くほど改善してくるという。
そのメカニズムとして、レセルピンは肥満細胞由来のセロトニンを枯渇させるなど、肥満細胞を介して作用すると考えられている。
レセルピンの蕁麻疹に対する保険適用はないが、その歴史は古い。40年以上前に、有効性を記述した論文が発表されている(アレルギー1962;11:396-7、400.)。
処方のルーツは東大と京大? 出光氏が、その処方を知ったのは医師になって3年目の1982年ごろのこと。当時、東大と順天堂大を経て自治医大皮膚科教授に着任した川田陽弘氏に教わったという。
関西医大皮膚科教授の岡本祐之氏も、難治性の蕁麻疹にレセルピン0.2mgを投与している(症例参照)。母校である京大の関連病院に勤務していたころ、病院に伝わる“秘伝”の処方として教わり、その効き具合に驚いたという。
出光氏は「なかなか治らない蕁麻疹を診たら、ステロイドを使う前に試してみてほしい」と話している。
Oct 2, 2009
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