All Star Game
打った瞬間に本塁打を確信したのはイチローだけではなかっただろう。ボールが勢いよく上がった直後の歓声。しかし打球はフェンス直撃。そしてイチローの疾走で再び大歓声となった。
「行った、と思った。(走るのを)緩めようと思ったくらい」
ボールは右中間フェンスのくぼみに当たって右翼定位置付近へ転がった。この不規則なバウンドが、オールスター史上初めてのランニング本塁打につながった。
「疲れちゃって大変でしたよ。嫌な球場ですね」。もちろん顔は笑っている。「僕にとっても実は初めて。それがオールスターで出るなんてね」。美しく、ダイナミックなフォームでダイヤモンドを1周した。真夏の祭典にふさわしい躍動感だった。
1打席目は痛烈な打球で一、二塁間を抜いた。プレーボールから2球目、ファーストストライクを積極的に狙った。2打席目は外角低めの変化球を意識的に三塁後方へ運ぶ巧打だった。
「どれも作品という感じだったね。いっぱいいっぱいのヒットはなかった」。珍しく上機嫌で自賛した。まだ両手に残る感触がそうさせたのか。「この6年間とは違う自分がいる。それをここで感じることができたのがうれしいですね」。MVPに選ばれ、主役はさらに輝きを増した。
Jul 11, 2007
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