Aug 5, 2007

National League West

ペトコ・パーク(パドレス)

 2004年4月に開場したパドレスの本拠地は両翼、中堅までの距離こそ平均的だが、左中間111.9m、右中間117.3mという広大なフィールド。外野から内野方向に吹く海風の影響もあって、メジャーでも屈指の「ピッチャーズ・ヘブン(投手有利)」の球場と呼ばれている。オープンからの3年間で計186本の本塁打しか生まれていない。レフトスタンド後方にある建物は敷地内にもともと建っていた築100年の建物で、球場の一部に取り込まれてチームストア、スイート席、レストランとして活用されている。バックスクリーン右側には港町サンディエゴらしく、「ビーチエリア」と呼ばれる人工の砂浜が設けられており、デーゲームではここで甲羅干しをしながら観戦するカップルや家族連れの姿も見かけられる。日本の野球ファンにとっては、昨年日本代表が優勝に輝いたワールドベースボールクラシックの決勝会場としてもおなじみの場所だ。



ドジャー・スタジアム(ドジャース)

 1962年4月に開場し、58年から使用したオリンピック・コロシアムから移って以来、ドジャースの本拠地としてことしで45年目のシーズンを迎える。両翼、中堅、左右中間とも完全なシンメトリー(左右対称)を描くフィールドは、外野フェンスまで十分な距離を保ち、また陽が落ちると湿度が高くなる気象条件もあって、投手有利の球場と呼ばれている。開場してからの場外本塁打はウィリー・スタージェル(パイレーツ)が放った2本とマイク・ピアザ(現アスレチックス)の計3本のみ。逆に、65年にここで完全試合を達成した「黄金の左腕」サンディー・コーファックスをはじめ、野茂英雄ら投のスターを数多く輩出している。広く清潔なメインコンコース、風物詩となっているハモンドオルガンの演奏やピーナッツ売り、大型メッセージボードの活用など、開場以来進めてきた積極的なファンサービスや球場の雰囲気作りは、ディズニー・ランドをモデルにしたとも言われている。また、名物の「ドジャー・ドッグ」をはじめ球場内の飲食物も質量とも評判が高い。野球以外の使用、貸し出しは限定されているが、大物アーティストのコンサートやローマ法王ヨハネ・パウロ二世のミサなど、歴史的イベントも開催された。



AT&Tパーク(ジャイアンツ)

 寒さと強風で「メジャーリーグのアルカトラズ島刑務所」と悪評を買った旧本拠地キャンドルスティック・スタジアムに代わるジャイアンツの新本拠地として、2000年3月にオープン。命名権スポンサーの合併に伴い、パシフィックベル・パーク、SBCパーク、AT&Tパークと7年間で3つの名称を名乗ったのは空前絶後。レフト103m、センター121.6mに対し、ライトポールまでの距離が94.2mと極端に短いため、当初からバリー・ボンズの本塁打量産に有利な設計と言われていた。実際翌2001年、ボンズはこの球場で放った37本が物を言って、シーズン73本塁打のメジャー新記録を達成。往年の大打者ウィリー・マッコヴィーの名前を冠した右中間の「マッコヴィー湾」に飛び込む場外弾は、「スプラッシュ・ヒット」と呼ばれている。その打球を取るため、ボートやカヌーに乗ったファンが待ち構えているのもこの球場の風物詩。ライトスタンド下の遊歩道には試合を無料観戦できるエリア「ナットホール」があり、左中間スタンド上部に巨大なグローブとコカ・コーラのモニュメントがあるのも名物だ。また、映画監督フランシス・フォード・コッポラが経営するワイナリーで生産されたカリフォルニアワインも販売されている。




チェイス・フィールド(ダイヤモンドバックス)

 1998年4月、ダイヤモンドバックスの誕生とともにオープン。世界3番目の開閉式屋根付き球場だが、初めて全面天然芝を採用し、以後メジャーのトレンドになった。巨大な開閉式屋根の移動にかかる電気代は、地元電力会社とのタイアップで1回わずか2ドル。昼間は芝の育成のために開けられているが、真夏には夜でも40度を超える猛暑を避けるため、ナイトゲームでも屋根は閉じられることが多い。2005年まではバンクワン・ボールパーク(通称「BOB」)の名称だったが改称。両翼、中堅までの飛距離は平均的だが、高地で空気が乾燥している気候条件のため打者有利の球場と言われ、昨年のチーム打率2割6分7厘がホームでは2割8分3厘に跳ね上がっている。今季復帰したランディー・ジョンソンは58勝27敗、防御率2.67と、この球場との相性はいい。球場の名物は、ライトスタンドにあるプール席「Leslie's Pool Zone」。1試合6500ドルの高額なグループ貸し切り席にもかかわらず、予約が殺到。昨年はワールドベースボールクラシックの開場としても使用された。



クアーズ・フィールド(ロッキーズ)

 1995年4月にオープン。93年、山岳時間帯初のメジャー球団として誕生したロッキーズは、仮の本拠地としたNFL(米ナショナル・フットボールリーグ)ブロンコスのマイルハイ・スタジアムに史上最高の観客448万3350人を動員したことから、当初予定されていた4万3800人の収容能力を急きょ5万445人に設計変更した。もっとも、近年はチーム成績の低迷でチケットの入手は容易になっている。標高1600m(1マイル)の高地にあるため打球が飛びやすいことで知られ、開場2年目の96年にはチーム本塁打221本のうち、ホームで149本が飛び出した。チーム生え抜きの主砲トッド・ヘルトンも通算286本塁打のうち176本をここで放っている。しかし、近年は使用球に加湿処理を施して飛距離を抑え、2006年はチーム本塁打157本のうちホームで75本と減少。球場内の座席は濃緑色に統一されているが、3階席20列目のシートだけがチームカラーの紫色に塗られ、標高1マイルの高さを表している。球場命名権を持つクアーズは地元コロラド州に本社と工場を置く世界的なビール会社で、同様の命名権球場を本拠地とするカージナルス(ブッシュ・スタジアム)、ブルワーズ(ミラー・パーク)との対戦は「ビール戦争」と呼ばれることもある。

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