Dec 15, 2007

Fasting

月に一度、定期的に絶食する習慣のある人は、動脈硬化のリスクが低くなるとの研究結果を、米ユタ州の専門家らがこのほど発表した。同州の人口の約7割を占めるモルモン教徒は毎月断食の日を設けていて、これが動脈硬化の発生率を抑える要因になっているという。


同大で心臓病を研究するベンジャミン・ホーン氏らが、最近の米心臓学会で報告した。同氏らのチームは、過去数年間のうちに血管が細くなったり詰まったりする「閉塞性動脈硬化症」のX線検査を受けた患者のデータから、モルモン教徒の発症率が低いことに注目。モルモン教には喫煙や飲酒を禁じる戒律もあり、特に禁煙の健康効果は従来から指摘されてきた。しかし、こうした要因を考慮した統計でも、発症率には依然として差があることが分かったため、断食との関係を調べることにしたという。


新たな調査では、対象者515人のうち、閉塞性動脈硬化症と診断された人の割合が、定期的に絶食するグループで59%、そうでないグループでは67%だった。対象者の8%は非モルモン教徒だったが、その中でも絶食の習慣がある人とない人を比べると、同様の傾向がみられたという。


「今回の結果だけで、定期的に絶食することが体に良いとは言い切れないが、絶食の効果は今後さらに研究する価値がありそうだ」と、ホーン氏は語る。「ただ、絶食を実行する人には、自分の食習慣や生活習慣全般をうまく管理できる自制心があり、これが健康増進につながっている可能性もある」という。


専門家らによれば、絶食によってカロリーが不足すると、食べ物に代わるエネルギー源として、体内に蓄えられた糖質や脂肪が分解、消費される。脂肪がたまりにくくなれば、動脈硬化の予防に役立つと考えられる。ただ、糖尿病患者やダイエット中の人が食事を抜くと悪化する危険性があるため、十分な注意が必要だという。

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