May 24, 2007

American League East Memo

ヤンキー・スタジアム(ヤンキース)

 ルースの建てた家、ベースボールのメッカ、メジャーリーグの首都と呼ばれ、数々の名場面の舞台となったこの球場も、来年のオールスターゲーム開催を花道にその歴史に幕を閉じる。1923年に落成し、巨大な観客席を持つ競技場を意味する「Stadium」を初めて名乗ったこの球場は、いったん73年に閉鎖されて2年をかけて全面改築され、76年にリニューアルオープンした。「デスバレー(死の谷)」の異名を持つ広い左中間、逆に背後に地下鉄の高架線がある関係で右中間からライトのポールにかけては狭くなっているフィールドの形状は、初代からほぼ受け継がれてきた。しかし、その後はモニュメント・パークの建設などで徐々に狭められ、現在は右中間まで117.3mに対し、左中間は121.6mに縮小。現在モニュメント・パークの国旗掲揚塔とルース、ルー・ゲーリッグ、ミラー・ハギンズ監督のレリーフがある部分までが昔のフィールド部分だ。なお、モニュメント・パークの見学を希望する場合、毎試合長蛇の列のため試合開始30分前には閉鎖されるので、必ず開門時間に合わせて入場すること。飲食物は種類が少ないが、コニーアイランド生まれのホットドッグ「Nathan's」はお勧め。2009年には隣接する建設地にニュー・ヤンキー・スタジアムがオープンする予定だ。


ロジャーズ・センター(ブルージェイズ)

 1989年6月、世界初の開閉式屋根多目的競技場スカイドームとして開場。このころから黄金期を迎え、92、93年に連続世界一となったブルージェイズの人気もあって、90年にはメジャー史上初の年間観客動員400万人台を記録した。外野席には野球場では初の支店となる「ハードロック・カフェ」、全長100mにおよび、客室からの試合観戦も可能な「ルネッサンス・ホテル」など当時としては極めてざん新な付属施設を有した。隣接する世界最大の展望塔CNタワーとの相乗効果もあって、現在でもトロント最大のランドマークになっている。球団の経営母体であるメディア企業によって買収され、2005年から現在の名称に改称。経営母体の変更後、ビデオビジョンがリニューアルされ、人工芝も最新式に張りかえられた。多目的競技場だが、野球優先に設計されているため1、2層部分まではフィールドとの距離も比較的近い。しかし、内外野を取り囲む最上層の500レベルと呼ばれる席は、あまり野球観戦向きではない。チームの看板バーノン・ウェルズの守りを間近で見るなら、外野最前列の「フィールド・レベル100」のうち、ライト側の101〜104、レフト側の139〜141の部分がお勧めだ。


フェンウェイ・パーク(レッドソックス)

 1912年4月にオープンしたメジャー最古の球場。増改築が繰り返されているが、三塁側の外壁に「FENWAY PARK」の古びた看板が掲げられているか所などがオリジナルの部分だ。公式戦のこけら落しは対ニューヨーク・ハイランダーズ(現ヤンキース)戦。名物のレフトにそびえ立つ「グリーン・モンスター」の壁には2003年から、永久欠番が掲げられたライトスタンドの屋根部分にも05年から観客席が設置され、ともに高額チケットにもかかわらず真っ先に売り切れる。03年から307試合連続でチケットを完売しており、01年に約3万3000人だった収容能力も3万8805人にまで拡大され、依然としてメジャーで最も高額で競争率の高いチケットだ。本塁側後方の街路「Yawkey Way」は試合開催日、当日のチケットを持っている観客しか通行できない。内野スタンド下の売店がある通路は長い歴史を物語るように、ピーナッツの油がしみこんでいて少し足元が滑りやすくなっている。最後の4割打者テッド・ウィリアムズの銅像もあり、球場のあちこちには彼が現役時代から力を注いだ小児ガン撲滅基金「Jimmy Fund」の募金箱が設置されている。


オリオールパーク・アット・カムデンヤーズ(オリオールズ)

 That's Ballparkと呼ぶにふさわしい、理想のボールパーク。レンガと鉄骨を組み合わせた外観、左右非対称のフィールド、最新の内装など近年流行の「新古典主義」の走りとなった球場だ。ボルティモアの湾岸地区再開発計画の一環として、カムデンヤーズと呼ばれた旧操車場跡に1992年4月にオープン。この周辺は同地出身のベーブ・ルースの父親が港湾労働者相手の酒場を開いていた場所であり、その辺りにはオリオールズのマイナーでプレーしていたころのルースの銅像が建っている。球場からわずか2ブロック離れた場所にはルースの生家が残され、「ベーブ・ルース博物館」として公開されている。また、ホットドッグなど決まりきったメニューしか用意していない球場が多かった時代に、バラエティーに富んだ飲食物を観客に提供。ビールでもバドワイザーやミラーなどの大手メーカーばかりでなく、いわゆる「地ビール」も用意されている。ことし殿堂入りしたカル・リプケンが2131試合連続出場の新記録などを達成した舞台で、2001年4月には当時レッドソックス所属の野茂英雄が史上4人目の両リーグにまたがるノーヒットノーランを達成した。


トロピカーナ・フィールド(デビルレイズ)

 1990年に開場し、98年の球団設立以来、デビルレイズが使用している。密閉型ドーム球場のため人工芝を用いているが、足腰への負担が軽いものが採用されており、内野の守備位置、走路部分も人工土になっている。屋根は半透明のガラス繊維性で陽光を十分に取り入れることができるが、作業用の通路が張り巡らされており、ここに当たった打球の判定をめぐって試合が中断することが年に数回ある。ファウルボールに手が届きやすい85〜115ドルの「フィールドサイド・ボックス」は、慢性的な不入りが続くこの球場でもよく売れている観客席。今季はカール・クロフォード、ロッコ・バルデリに加えて、ライトに強肩のデルモン・ヤングが起用され、17〜22ドルの「ブリーチャー席」もお勧め。今季から4基の新しいビデオボードがお目見えし、ライトスタンドのメインボードは縦35フィード×横64フィートと大型になった。センター後方にある「The Batter's Eye Restaurant」、一塁側にあるピクニックエリア「Checkers Bullpen Cafe」などユニークな観戦エリアも多い。

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