Oct 1, 2007

Diabetes mellitus





[劇症1型糖尿病]
 1 型糖尿病は2型糖尿病に比べると発病からインスリン療法が必要になるまでの期間が短いものですが、その1型糖尿病のなかでもとくに急激に発病するタイプがあることが近年わかり、それを劇症1型糖尿病と呼ぶようになりました。1型糖尿病の患者さんの約2割が該当すると考えられています。発病と同時にインスリンの分泌がほぼ完全になくなってしまうために、著しい高血糖、ケトアシドーシスなどの危険な状態になります。このため直ちに治療を始めないと生命が危ぶまれます。
 診断時の検査では、血糖値が極めて高いにもかかわらず、HbA1Cなどの長期間の血糖コントロールの指標はほとんど正常であることが特徴です。また、これまでは1型糖尿病の発病と関係があるとされていた自己抗体などの検査は、陰性のケースが多いこともわかっています。このほか、通常の1型糖尿病は小児や若年者に多く発病しますが、劇症1型糖尿病は成人に多く、とくに女性の場合は妊娠中の発病が多い傾向があります。


劇症1型糖尿病診断基準

下記1〜3のすべての項目を満たすものを劇症1型糖尿病と診断する。

1. 糖尿病症状発現後1週間前後以内でケトーシスあるいはケトアシドーシスに陥る(初診時尿ケトン体陽性、血中ケトン体上昇のいずれかを認める。
2. 初診時の(随時)血糖値が288mg/dl (16.0mmol/l) 以上であり、かつHbA1c値<8.5%である。
3. 発症時の尿中Cペプチド<10mg/day、または、空腹時血清Cペプチド<0.3ng/ml かつ グルカゴン負荷後(または食後2時間)血清Cペプチド<0.5ng/ml である。

<参考所見>

A) 原則としてGAD抗体などの膵島関連自己抗体は陰性である。

B) ケトーシスと診断されるまで原則として1週間以内であるが、1〜2週間の症例も存在する。

C) 約98%の症例で発症時に何らかの血中膵外分泌酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1など)が上昇している。

D) 約70%の症例で先行感染症状(発熱、上記道炎症状、消化器症状など)を認める。

E) 妊娠に関連して発症することがある。

劇症型糖尿病調査委員会が実施した疫学調査に基づき、劇症1型糖尿病に関するシンポジウム(2004.2.14)において、劇症1型糖尿病の新しいスクリーニング基準(外来初診時に劇症1型糖尿病を疑い、精査を進める基準)と診断基準が提示された。





経口血糖降下剤の作用機序

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