Oct 1, 2007

Insulin resistant syndrome


インスリン抵抗性


インスリン抵抗性は高インスリン血症をきたす。高インスリン血症は以下の機序により生活習慣病の原因となる。
o 肝臓のVLDL産生増加をきたし、高中性脂肪血症をひきおこす。
o 腎尿細管への直接作用によりナトリウム貯留を引き起こし高血圧を発症させる。
o 血管内皮細胞を増殖させ、アテローム性動脈硬化症を発症させる。

インスリン抵抗性患者においてサイトカイン、特に脂肪細胞の分泌するアディポサイトカインの異常が明らかとなってきている。すなわちアディポネクチンの低下と、TNF-α、PAI-1、レジスチンの増加である。

インスリン抵抗性の発現には腸間膜の脂肪沈着が重要といわれている。腸間膜脂肪組織で合成された脂肪酸は直接肝に送られ、肝での中性脂肪合成を促進する。

インスリン抵抗性の原因として、タンパク質折りたたみ異常によって生じる小胞体ストレスが原因として提唱され、注目を集めている。


●インスリン受容体異常症の種類
(1)A型インスリン受容体異常症:
「A型は黒色表皮症、多毛、polycystic ovaryなど、高アンドロジェン血症による症状が認められることが多い。 (2)B型インスリン受容体異常症:
「B型はSjögen症候群、PSSなど自己免疫疾患を伴うことが多い。」



[A型]
診断基準[A型]
(1987年、厚生省ホルモン受容体機構調査研究)
<1>臨床症状:
1.若年層、とくに女子に多い。
2.耐糖能の低下
3.黒色表皮(acanthosis nigricans)を伴うことが多い。
4.多毛、原発性無月経、多嚢胞卵巣(polycystic ovary)を伴うことがある。
<2>検査所見:
1.ブドウ糖負荷試験における耐糖能の低下
2.血漿インスリンまたはCペプチドの高値
3.外因性インスリンに対する反応の低下
4.インスリン受容体抗体はない。
5.血液細胞、脂肪細胞において、インスリン結合能の低下が認められる。
6.培養細胞においても同様のインスリン結合能の低下を認める。
(培養細胞)=皮膚線維芽細胞やEBウイルスより形質転換したリンパ球。
<3>除外規定:
1.以下の疾患による2次的受容体異常。
    (a)成長ホルモン過剰
    (b)副腎皮質ホルモン過剰
    (c)インスリン非依存性糖尿病
    (d)単純性肥満
    (e)肝疾患
2.原発性インスリン受容体異常を伴うもの。
    (a)leorechaunism
    (b)Rabson-Mendenhall症候群
3.lipoatrophic diabetes Werner症候群
  筋緊張性ジストロフィー
4.異常インスリン血症
  家族性高プロインスリン血症



[B型]
診断基準[B型]
(1987年、厚生省ホルモン受容体機構調査研究班)
<1>臨床症状:
1.成人、女子に多い。
2.インスリン抵抗性糖尿病ないし軽度の耐糖能の低下。
3.但し、時には低血糖を主徴候とすることもある。
4.他に自己免疫疾患を伴うことが多い。
    (a)Sjögen症候群
    (b)PSS
    (c)SLE
5.黒色表皮症(acanthosis nigricans)を伴うことが多い。
<2>検査所見:
1.血糖:耐糖能の低下を認める。但し、低血糖を来す場合もある。
2.血漿インスリンor Cペプチドの高値
3.外因性インスリンに対する反応低下
4.患者血液細胞のインスリン受容体の結合能の低下を認める。
5.インスリン受容体抗体が証明できる。
6.血沈亢進、γ-グロブリンの増加、他の自己抗体が陽性
<3>除外規定:
1.以下の疾患による2次的受容体異常。
   (a)成長ホルモン過剰
   (b)副腎皮質ホルモン過剰
   (c)インスリン非依存性糖尿病
   (d)単純性肥満
   (e)肝疾患
2.lipoatrophic diabetes Werner症候群
  筋緊張性ジストロフィー
3.異常インスリン血症
  家族性高プロインスリン血症
4.他の原因のよる低血糖:
  (a)インスリノーマ
  (b)インスリン自己免疫症候群




二次的にインスリン抵抗性を起こす病態

* B型インスリン受容体異常症
* 妖精症
* 脂肪萎縮症候群
* 先端巨大症
* クッシング症候群
* 原発性アルドステロン症
* 褐色細胞腫
* 肝硬変
* その他…ストレス、感染、妊娠、内服ステロイド

No comments: