Oct 4, 2007

Do you STILL believe 10-day-rule?

1960年代においては「胎児,特に妊娠初期は細胞分裂が盛んである」および「分裂の盛んな細胞ほど放射線に弱い」という見解に基づき,女性のX線検査は妊娠の可能性のない月経開始後10日以内に行うべきであるとして「10日規則」が1962年の国際放射線防護委員会ICRP勧告に取り入れられました.しかしながら,ICRP勧告のその後の変遷を調査してみると,1983年に「10日規則」は撤回され,さらに1999年には「妊娠中絶をするのに 100mGy未満の胎児線量を理由にしてはいけない」と改められています.1999年の勧告では,「受胎産物(胎児)が100mGyの吸収線量を被ばくした場合,子供が奇形を持たない確率はほぼ97%,子供(0〜19歳)ががんにならない確率は99.1%」と示されています.したがって,現在では「10日規則」は科学的根拠に乏しく,医療上の必要があれば妊娠の有無にかかわらず通常のX線検査を行うことが肝要であり,適切な検査時期を逃すべきではない,という考え方になっています.今後,可能性が低いながらも「10日規則」がプール問題として以前と同様に出題された場合は,1960年代当時の見解に基づいて回答せざるを得ないと思われますが,現在では上記のごとく解釈が変わっているという事実は認識しておく必要があります.

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