Oct 1, 2007

Glycogen storage disease(GSD)

1. von Gierke病、糖原病I型
グルコース-6-リン酸の脱リン過程の障害により肝腫大、腹満が生後数か月頃から目立つ。
低血糖とそれに基づく痙攣が5才頃まで続き次第に改善する。皮下脂肪の沈着、アシドーシス、高尿酸血、出血傾向をみるが脾腫はない。知能障害も少ない。
幼児期の低血糖を管理すれば予後はさほど悪くないが高尿酸血による腎障害、高脂血、狭心症などに注意を要する。


2. Pompe病、全身型糖原病、糖原病II型

α-1、4-グルコシダーゼの先天的障害によるもので全身に病変が及び心、肝、筋肉、脾、腎、神経系、副腎、甲状腺などにグリコーゲンが蓄積するが高脂血や低血糖はない。
乳児型は出生2か月以後に心、肝、舌の肥大、呼吸障害、筋力低下が現れる。半数に心雑音をききCPK、GOT、LDHが高値になるが尿中グルコシダーゼの定量とpHの低下で診断できる。平均寿命は5年で心不全などで死亡しやすい。
小児型は四肢の脱力、筋萎縮などで発見され肝腫は著しくないことがある。CPKアイソザイム異常で診断されるが心筋障害のため20才頃までに死亡しやすい。成人型は舌の肥大、筋力低下、筋萎縮などで壮年期以後に発見され肝、心の肥大を欠くが呼吸筋障害で呼吸不全に陥ることはある。


3. Forbes病、Cori病、糖原病III型

amino-1、6-glucosidaseなどの欠損による。乳幼児期から肝腫大、低血糖、成長障害がみられるがI型に比して軽く筋力低下や心肥大もみないことが多い。予後もさはど悪くない。


4. Andersen病、糖原病IV型
 
分枝酵素の欠損で肝、筋、腎、脾、腸、神経系などヘグリコーゲンが蓄積する。発育の遅延があり肝脾腫、筋力低下で気づかれる。門脈高血圧、食道静脈瘤を伴った肝硬変として消化管出血、GOTやLDHの高度上昇がみられる。3才頃までに死亡しやすい。

5. McArdle病、糖原病V型
  
骨格筋のglycogen phosphorylase活性の欠如による。小児期から筋の易疲労、運動時の有痛性硬直がみられるが休息で回復する。筋萎縮は大腿、肩に多く頚、上腕にもみられる。CPK、GOT、LDH、アルドラーゼ値が上昇し運動後にミオグロビン尿がみられる。運動を避ければ予後は悪くない。


6. Hers病、糖原病VI型
  
肝phosphorylaseの異常により肝腫大、腹部膨満が著明になりコレステロール、中性脂肪、GOTが時に高値になる。低血糖や肝腫は欠くことが多い。


7. Tarui病、糖原病VII型

垂井により報告された。骨格筋phosphofructokinaseの先天的異常によりV型と似た筋力低下がみられる。運動により筋の脱力、硬直、動悸が数分後に現れ休息を要する。ミオグロビン尿、CPK、GOT、LDHの軽度上昇をみとめるが予後は良好である。


8. 糖原病VIII型

最も軽症の糖原病といわれ肝phosphorylase-kinaseの欠損による。




VI型とよく似て肝腫大以外にはほとんど症状がない。低血糖例も少なく年長になれば肝腫も縮小するので予後は悪くない。

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