薬剤耐性菌の代表ともいえるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による感染で、米国における死者が年間1万8000人以上に達するとの推計が明らかになった。エイズによる死者数を超えており、専門家は薬物耐性菌を増やす原因になる、抗生物質の多用について警鐘を鳴らしている。
米疾病対策センター(CDC)などの研究者が16日、米医師会雑誌(JAMA)に発表した。
MRSAは、ヒトの皮膚表面などに存在する黄色ブドウ球菌が、抗生物質メチシリンに耐性を持った病原菌。抗生物質を多く使う医療機関で見つかることが多いが、それ以外の場所でも感染が広がっており、米国だけではなく、日本でも問題となっている。
CDCの研究チームは、ジョージア州アトランタやコロラド州デンバーなど、米国を代表する9都市圏を対象に、2005年のMRSA感染を調査。その結果、皮膚上ではなく、体内にMRSA感染が及んだ患者は5287人で、死者は988人だった。
この数字から導き出される感染率は、人口10万人あたり31.8人で、全米に換算すると9万4360人になる。また、体内感染者の死亡率は10万人あたり6.3人で、年間で1万8650人がMRSA感染死していることになる。
米国では2005年、1万7011人がエイズで亡くなっており、今回の推計が正しければ、MRSA感染死者数はエイズ死者数を上回る。
研究者らは、MRSAがもはや医療機関に限った問題ではないと指摘。公衆衛生問題として、直ちに取り組まねばならない局面となっていると警告している。
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Oct 18, 2007
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